2014年12月26日金曜日

PDEつき最適化問題の本に関するメモ

ここ1か月程度かけて読んだ本は、

「Optimization with PDE Constraints」
http://www.springer.com/mathematics/book/978-1-4020-8838-4

という本で、Springer から出版されている。
4章からなっていて、大まかな構成としては、以下の通り。




第1章は、微分方程式最適化の基本的なところを扱っているので、
記号の定義など含めて、じっくりと読むことが必要。
とにかく第1章を2,3度は目を通して記号に慣れる。そうすると、
そのあとが格段に読みやすい。

第2章は、主に Banach 空間における最適化手法について。
SQP, Newton 法の概略や証明などがまとめられている。

第3章は、離散化して解くときを検討している。
特に、離散化により本来の解とどれだけずれているか、という
解析が行われている。

第4章は、応用について
2種類の応用(半導体とガス冷却)について、計算例や
その結果などがまとめられている。

2014年12月24日水曜日

紀伊国屋で情報収集

今までとは違った研究をするにあたって、まずは一般的な書籍などを調べるときに、Amazon などのインターネットを使ったりもするが、紀伊国屋などの実店舗も極めて有益である。

特に有用性が高い点が、店員さんが関連の強い書籍をまとめて置いてくれていることである。インターネットでは得ることの困難な「生身の情報」は、やはり質が高いと感じることしきりである。

なお、紀伊国屋は新宿に2店あり、本店と新宿南店は互いに歩いていける距離であるが品ぞろえに違いがある。特に、新宿南店は洋書の揃えが都内でも最高レベルである。
また、ブックファーストの新宿店も大規模書店であり、周辺分野の書籍などを探すのに便利である。

本屋とひと口に言っても、それぞれのお店で性格が違うので、そのあたりを把握するのも面白い。


2014年12月18日木曜日

PDEつき最適化問題の最適性必要条件のメモ

ポイントとなるところだと思うので、メモしておく。

\( \mbox{min:} \ J(y,u) \ \mbox{s.t} \ e(y,u) = 0, u \in U_{ad} \)
という最適化問題の場合に、\( (\bar{y}, \bar{u}) \) が最適解なら、あるラグランジュ乗数 \( \bar{p} \) が存在して、以下の4つを満たす。

1. \(e(\bar{y}, \bar{u}) = 0 \)
2. \(e_y(\bar{y}, \bar{u})^* \bar{p} = -J_y(\bar{y}, \bar{u}) \)
3. \( \bar{u} \in U_{ad} \)
4. \( \langle J_u(\bar{y}, \bar{u}) + e_u(\bar{y}, \bar{u})^* \bar{p}, u - \bar{u} \rangle \ge 0 \ \mbox{for} \ \forall u \in U_{ad} \)


2014年12月16日火曜日

部分積分の公式のメモ

頻繁に使うので、メモしておく。


\( - \int_\Omega y_{x_i x_i} v dx = \int_\Omega y_{x_i} v_{x_i} dx
- \int_{\partial \Omega} y_{x_i} v \nu_i dS(x) \)

これを一般化したものが

\( \int_\Omega (-\Delta y)  v dx = \int_\Omega \nabla y \cdot \nabla v dx
- \int_{\partial \Omega} \frac{\partial y}{\partial \nu}  v dS(x) \)


あと、$$ dS(x) $$ のあたりの意味をよく理解していないので、そのあたりも勉強する必要あり。


2014年12月8日月曜日

新雑誌 Vehicular Communications をチェック

Vehicular Communications という学術雑誌が新しくできており、Volume 1 は無料でアクセスできる、ということなので、どういう雑誌なのかをチェックしてみた。

基本的には雑誌のタイトル通り、車両の通信に関してモノが中心であって、数理最適化理論との接点は小さそうであった。
もともと、交通の研究は実際のデータをベースにしているので、数理最適化でいう 「ε精度の誤差が多項式時間で計算できる」などとは、そぐわないこともあるかと思ったりはする。(新宿駅の一日の乗降者数を10人程度といった誤差で求めることに、あまり意味はないし)

ただ、今後は ITS の発展も見込まれるから、こういったところの研究に関係するような数理最適化も多くなるかもしれないし、応用を知っていくという意味では面白い雑誌かと思う。


2014年12月4日木曜日

微分方程式最適化の \( H^{-1} \) までの定義

微分方程式最適化について調べているが、記号が多くなってきて分かりづらくなってきたので、一部をまとめておく。


  • \(\Omega \) : \(R^n\) の開集合
  • \(u : \Omega \to R \) の関数
  • supp(\(u\)) : \(\{x \in \Omega : u(x) \ne 0 \} \)
  • \(C_c^{\infty} (\Omega) \) : \( \{ u \in C^{\infty} (\bar{\Omega}) : \mbox{supp}(u) \subset \Omega \mbox{がコンパクト} \} \)
  • \( W^{k,2} (\Omega) \) : \( \{ u \in L^p (\Omega) : u \mbox{は} |\alpha| \le k \mbox{となるすべての} \alpha \mbox{で弱微分} D^{\alpha} u \in L^p (\Omega) \mbox{を持つ} \} \) この空間は Sobolev 空間と呼ばれている
  • \( W_0^{k,2} (\Omega) \) : \( C_c^{\infty} \) の \( W^{k,2} (\Omega) \) における closure
  • \( H_0^1 (\Omega) \) : \( W_0^{k,2} (\Omega) \) の alias
  • \( H^{-1} \) : \( H_0^1 (\Omega) \) の双対空間

大まかなイメージでいうと「\( H_0^1 (\Omega) \) が1階微分できる空間」というあたりか。