11月23-24日に開催された台湾オペレーションズ・リサーチ学会(&国際学会)に参加をしてきた。
今回は、台南にある国立成功大学 (National Cheng-Kung University) での開催で、23日はレジストレーションとバンケット。
レジストレーションでは、国立成功大学に在籍中という日本人学生さんがサポートしてくれたので、言葉には全然問題なし。(国際学会を兼ねるのは今回が初めてで日本からの参加も多かったので、日本人学生さんもサポートをしてくれているらしい。)ちなみに、建物の中で道が分からないときに、他のサポート学生さんに英語で聞いてもちゃんとすぐに答えてくれるので、たぶんどの学生も英語は相当にできるのではないかと思う。レジストレーションではカバンをもらった。台湾OR学会の研究発表会は年に1回の開催だけど、カバンは毎年配っているらしい。
バンケットの会場は Shangli-la ホテルという台南駅すぐ隣で台南市内でもかなり高層階(38階)の建物で、今回はフルコースだった。東坡肉は日本の5倍ぐらいあるし(聞いた話では台湾でも東坡肉の大きさは店によって大きく変わるので、ここのレストランのコックが大盤振る舞いしたのかもしれない)、魚は種類までは良く分からなかったけど、あっさりとした味付けがおいしかった。かなり美味しかったので、最後に出てきた白いドラゴンフルーツなどはお持ち帰りしたかった。あと、お茶が柚子茶と書いてはあったけど、韓国の柚子茶とはまた違った印象で、これも美味しい。
学会自体は24日が本番で、9:30に開始で最初は会長の挨拶。そのあと、受賞会。受賞会は中国語だったので正確なところは分からないけど、最初のあたりが大きい賞で、そのあとに若手研究者の賞、学生の賞、と順番になっているようだった。
10:00ぐらいから keynote が2件あって、約1時間ずつ。keynote の2件目は NVIDIA の OpenUSDや Omniverse の話があって、講演者は国立成功大学の出身で今はNVIDIAで勤務。Ominiverse のフレームワークで作った Digital Twin の動画などがあって面白かった。このあたりの動画の作り方などからすると、学生とかに興味を持って分野にどんどん参入してもらいたい、というのがこのkeynoteの話の構成だったのかもしれない。個人的には「Digital Twin がコンピュータ上の単なるシミュレーションではない」ということが分かって良かった。
12:00ぐらいからお昼ご飯で、参加者にお弁当が出ていた。お弁当はルーローハンや魚介類つみれのスープ、台南名物の海老巻き揚げ。あとはおかず類。これだけのボリュームだとちょっと足りないかな、というところに最後で豆花が追加されていた。しかも、ちゃんと台南名物の安平豆花。バンケットといいお弁当といい、食事が楽しくてしょうがない。この食事をチョイスした人にあと3食ぐらいチョイスしてほしい。
午後はパラレルセッションの時間枠が2つ。つまり、1時間半の枠が2個あって、その間に Tea Break。
パラレルセッションは10個あるけど(つまり、合計で20セッション)、今回は国際学会を兼ねているので10個のうちの2個のセッションが英語でのセッション。
一つ目のセッション(13:30-15:00)では、配送計画問題で複数のトラックの配送分担を決めるときに最適化ギロチンカットを用いる手法や、暗号資産の VaR などをけいさんするのに SVCJ (Stochastic Volatility with Correlated Jumps) が使われていたり、 stochastic PERT に対して追加資材無しで最適化する手法もあった。他にも SDGs についての話があったり、飛行機の表面の加工に関して Taguchi method や ANOVA を使っている話もあった。
Tea Break (15:00-15:30) では、マレーシアからきた発表者と話をすることができた。マレーシアでは日本もそれなりに学生の進学先として人気があるけど、最近では地理的な近さから台湾も人気があるし、オーストラリアも人気、とのこと(自分の英語があっているなら)。日本人は日本からの距離で各国の位置を把握するけど、マレーシア人もマレーシアからの距離で考えるようなので、自分の中心がどこにあるかで見方が変わるのも面白いなぁ、と思ったりした。
二つ目のセッション(15:30-17:00) は、せっかくの機会だったので中国語のみのセッションに参加をしてみた。こちらのセッションはさっきのセッションと異なって学生の発表が多かった。学生が多いのが、中国語で発表できるからなのか、それとも二つ目のセッションの時間帯は学生が多くなるようにスケジューリングされているのか、そのあたりはちょっと分からなかった(誰かに聞いてみても良かったと思う)。内容としては最適化やロジスティクス関係の話で、NP-hardな定式化に対して VNS などのヒューリスティクスを適用していて、それらの調整方法などを話しているものや、RMFS (Robotics Mobile Fulfillment System) に関するGAの性能向上や Permanent Magnetic Clamping Blocks の利益最大化、他にも生産過程に対する2目的最適化にNSGA-IIを使って信頼性の最大化とコストの最小化を同時に行うようなもの、多目的最適化に対する Deep Reinforcement Learning, Job Shop Scheduling Problem に対する cloud + edge computing で Reinforcement Learning などしているものなどがあった。
このセッションでは、スライドは中国語で書かれていて発表も中国語で行われているわけだけど、スライドの漢字と数式を見ているとおおよその意味合いは推測がつくことが多い。(例えば、「最適化」は「最佳化」。)一方で、今回の学会は発表件数が多いからなのか発表一件当たりの時間は発表12分+質疑3分と短めで、言語の壁よりも時間の壁の方が意外にもきつい感じだった。
ちなみに、発表のアブストラクトについては印刷版はなく、インターネット上から自分でダウンロードしてくる形式なので、アブストラクトは誰でも読むことができる。そのうちに検索サイトのロボットが情報収集に来れば、検索サイトの検索対象にもなるのかと思う。
セッションは17:00に終わって、最後にクロージングのコメントが台湾OR学会会長兼実行委員長からあって、それで解散、という感じだった。最後の解散の時点でもオープニングの半分以上の参加者が残っていたかと思う。
今回の学会で他のところと違うなぁ、と感じたのは2点で、一つはどこでも写真を多く撮っているところ。受賞者が記念品をもらうときに写真を撮るのはよく見かけるけど、今回はセッション終わったところで発表者だけでなく聴講者も並んでの撮影があったりした。もう一つは、それぞれの発表が終わって質疑応答が時間ギリギリまでならなくても次の発表に移ってくこと。だから2つのセッションとも90分の時間のところ80分ぐらいで終わったかと思う。これらは今回だけなのか、それとも台湾の慣習なのか。
ということで、今回は台湾オペレーションズ・リサーチ学会に参加をしてきた。研究内容については自分がまだ知らない手法なども多く、とても勉強になったし、とても刺激になったし、もっと研究をしたくなったりした。あと、ごはん、美味しい。